
ひな形、テンプレートをそのまま使うのは危険
「契約書」は、インターネットで検索すればいくらでもひな形やテンプレート、書式が見つかります。
これを利用すれば、「甲」と「乙」のところに名前を入れるだけで契約書が作れそうですし、
「形式上あったほうがいい」くらいの理由たっだら、無料で簡単に済ませたいということもあると思います。
テンプレートをそのまま使うのはリスクでしかない
しかし、ひな形はあくまでもひな形、カスタマイズを前提としていることを忘れないでください。
業種、目的とする商品・サービス、取引形態、そして取引の相手方によっても、内容は大きく変わります。
そして、よく検討されていない契約書は、むしろトラブルの元凶となります。
どうしてもテンプレートを使うときは最新版かどうか確かめてから
令和2年に民法が大改正されています。
ネット上にあるひな形は、それが反映されてるもの/反映されていないものが入り混じっています。
どうしても使用したい場合は、「民法改正対応」と明記されたものを選択してください。
契約書を取り交わす意味
契約書はトラブルなく取引を遂行するために作成するものであり、契約書がなければ取引が成立しないわけではありません。
法律で決められている一部を除いて、たとえ金額が大きくとも、契約自体は口約束だけでも有効に成立します。
ではなぜ、わざわざ契約書を取り交わすかですが、契約書作成には以下のような目的があります。
・契約内容を明確化し双方で確認することで、「相互の解釈に食い違いがなくなる」
・言った言わないで起こる揉めごと、責任の押しつけ合いなどの「紛争を予防」する
・書面にすることで「証拠」となり、義務を果たすことの(間接的な)強制となる
このことから一般的には契約書を作成し、当事者それぞれが署名・押印することで、契約の成立を確認、証明するわけです。
コンプライアンス、リスクマネジメント、という言葉が流行っていますが、そういった意味でも契約書作成は重要です。

契約書作成の基本
契約書作成で特に注意するところ
① 契約の成立日と契約の相手
契約の成立日がわからない契約書に意味はありません。
また、契約書に署名押印する人が代表権または代理権をもっているかの確認は絶対に必要です。
② 契約の具体的内容
「目的の商品やサービス・数量・金額」だけでなく、
取引の流れに沿って
「どのような商品とするか?どう製作するか?」
「商品をいつ受け取るのか?その方法は?」
「商品のチェック(検収)方法は?その基準は?」
「入金はいつ?どのように行うのか?」
などを決めていき、
「何を基準に仕事の完成(終了)とするか」
「もし納品が遅れた場合どう責任をとるか」
なども含めて、
「取引の目的」「取引の方法」「取引の条件・期間」「仕事の範囲」「責任の範囲」を明確にすることが必要です。
なお、契約書で定めた内容は原則として法律よりも優先されます。
③ 関係法令はないかの調査
契約書で定めた内容は原則として法律よりも優先されますが、逆に、その事柄について契約書に記載のない記載のない内容は法律に従います。
そこで、その契約がどの法律に関連しているか調べておくことは重要となります。
基本契約書と個別契約書
基本契約書と個別契約書
1.同じ取引先で、継続的に売買などを行うときには、「基本契約書」と「個別契約書」を作る場合があります。
2.まず、これから継続的な取引をするにあたってのすべての取引に共通する基本的な事項を「基本契約書」という形で交わしておきます。
(比較的規模の大きな会社が相手ですと、「口座を開いた」という表現をすることがあります。)
「基本契約書」は最初に一度だけ交わすものですが、取引(及び取引先としての)の根本ルールについて定めたものになります。
ですので、慎重に作成することが求められます。トラブルが起こったときはこの基本契約書が拠り所となります。
3.そして、個別具体的な取り決めは、「個別契約書」で行います。
個別契約は、通常、個々の取引のたびに締結されます。個別契約書も、その特性から取引事情の変化に合わせたものになります。
「基本取引契約書」と「個別契約書」との間に矛盾が生じている場合、
「個別契約書」に「基本契約書と内容に矛盾・抵触が生じた場合には、個別契約書で定めた内容が優先する」と
記載することで個別契約書の内容が優先されますが、どちらを優先するのがよいかはケーズバイケースです。
4.なお、実務では個別契約書ではなく「注文書」「注文請書」という形式でやりとりする場合もけっこうあります。(発注側の印紙税節約のため)
また、「発注書」「注文書」というタイトルの契約書が作成されることもしばしばあります。
契約書と似たような書面の違い、その使い分け
「契約書」は売買などの取引について、その条件を明確にすることを主な目的として作成するものす。
ところで、似たように取り交わす書面に「確認書」や「合意書」、さらに「覚書」「念書」といったものを差し入れることがあります。
実務では書面のタイトルにとらわれずに、内容での判断となりますので、取引についての合意であればそれは契約書です。
確認書・合意書
一般的には、取引とはいえないような事柄についての双方の合意と内容を明確にする目的で作成されます。
契約書を交わした後に想定外の事態が起こって、それに対処するための方法を取り決める、といったときに作成することもあります。
覚書
契約書の内容の修正、補足や確認などに用いられます。(修正の場合を「特約」といい、覚書の内容が契約書に優先します)
念書
当事者の一方だけが、相手方に約束した内容を記して差し出すものです。
契約書を公正証書にする
公正証書とは、法務局が所管する公証役場で、公証人に作成してもらう書面です。
公正証書にすると以下のようなメリットがあります。
1.高い証拠力がある
公正証書は国の機関である公証人が作成したものなので、裁判で強力な証拠となります。
2.判決と同じ力がある
公正証書に「執行認諾文言(しっこうにんだくもんごん)」というものをつけておけば、裁判をしなくとも差し押えをすることができます。
3.法律違反になっていないかをチェックしてくれる
公正証書を作成する前に、公証人が、内容が法律等に違反していないかをチェックします。
契約書に関する、ちょっとした疑問、不安、悩み、お気軽にご相談ください。
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