入札参加資格の取得方法

国の入札に参加できる「全省庁統一資格」

「全省庁統一資格」は、国の省庁が発注する物品の製造・販売や役務提供などの入札に参加するための共通資格です。

その制度、資格取得の方法、活用メリットまでを解説します。

全省庁統一資格のメリット

売上アップ

初期投資なしで販路開拓

もちろん落札のための努力は必要ですが、国の機関という巨大市場への参入、売上アップの機会が得られます。

建物

国と取引している信用

「国との直接取引がある企業なら信頼できる」、お客様にそう思っていただけるので信用度がアップします。

よろこんだ

営業に負担がかからない

競争入札ですから、個別に営業するということがありません。新規開拓でも営業担当部署に負担がかかりません。

どんな品目で、どこに入札参加できるか

入札参加できる品目 

省庁の調達する物品の製造・販売・役務(サービス)など多岐にわたります。御社の得意とする品目も必ずあるはずです。

※この資格で建設工事・測量・設計など公共工事の入札には参加できません。

物品の製造・販売

営業品目説明(具体的事例)
(1) 衣服・その他繊維製品類制服、作業服、礼服、寝具、テント、シート、絨毯、カーペット、タオル等
(2) ゴム・皮革・プラスチック製品類ゴム、タイヤ、かばん、合成皮革、FRP製灯塔等
(3) 窯業・土石製品類茶碗、湯呑、皿、ガラス、陶磁器等
(4) 非鉄金属・金属製品類非鉄金属、金属、アルミ、銅、ステンレス、チタン、ニッケル、鋼材、鋼管、ガードレール、パイプ、鉄蓋、鋳鉄、鉛管、ビニール管、ボルト、ナット、ワイヤーロープ、刃物、手工具、ブイ等
(5) フォーム印刷フォーム印刷(単票、伝票、連続、複写、ミシン加工、ビジネス帳票等)
(6) その他印刷類シルクスクリーン、シール、パンフレット、はがき、ハンドブック、オフセット印刷、軽印刷等
(7) 図書類美術、活版、グラビア、雑誌、本、DVD、CD、図書刊行物、映像ソフト、書籍、新聞等
(8) 電子出版物類電子出版、PDF、電子書籍、CD-ROM、DVD-ROM等
(9) 紙・紙加工品類ポスター、パンフレット、はがき、DM、用紙、再生紙、ハンドブック、製紙、紙製品、紙袋、段ボール等
(10) 車両類自動車、自動二輪、自転車、乗用車、公用車、貨物自動車、消防車、救急車、清掃車、散水車、除雪車、ブルドーザ、フォークリフト、トラクター等
(11) その他輸送・搬送機械器具類航空機、ヘリコプター、自転車等
(12) 船舶類大型船舶、小型船舶、ヨット、カヌー、船舶用機器、船舶部品、漁業船、調査船、ボート等
(13) 燃料類車両燃料、ガソリン、重油、灯油、軽油、ガス、薪、炭等
(14) 家具・什器類什器、木製家具、鋼製家具、建具、事務机、椅子、箪笥等
(15) 一般・産業用機器類印刷機、製本機、ボイラー、エンジン、旋盤、溶接、集塵、クレーン、印刷事業用機械器具等
(16) 電気・通信用機器類家電機器、照明器具、通信機器、音響機器、配電盤、交通管制機器、レーダー、交換機、伝送装置、通信ケーブル、無線機、蓄電池、発電機、遠方監視装置、レーダー雨量装置、短波、長波、携帯電話等
(17) 電子計算機類パソコン、電卓、計算機、サーバ、ハードディスクメモリ、光学ドライブ、汎用ソフトウエア等
(18) 精密機器類X線、計量機器、測定機器、試験分析機器、理化学機器、気象観測機器、質量測定機器、光学機器等
(19) 医療用機器類医療機器、理化学機器、計測機器、測量機器、MRI、AED、介護機器、福祉機器、医療用ベッド等
(20) 事務用機器類細断機、複写機、穿孔機等
(21) その他機器類 厨房器具、消火器具、消火装置、防災器具、自動車検査用機械器具、林業用物品等
(22) 医薬品・医療用品類医療機器、理化学機器、計測機器、測量機器、MRI、AED、介護機器、福祉機器医療用ベッド等
(23) 事務用品類事務用品、文具等
(24) 土木・建設・建築材料セメント、生コン、アスファルト、木材、石材、砂利、ヒューム管、道路標識、カーブミラー、建築金物、スノーポール等
(27) 警察用装備品類制服、衛服、警報装置、警棒、手錠、警察手帳、銃器関係類、火薬、火工品、硬鉛、その他装備用品等
(28) 防衛用装備品類制服、防衛用武器等、防衛用施設機器等、防衛用通信電子機器等、防衛用航空機用機器等、防衛用船舶用機器等、防衛用一般機器等、防衛用衛生機材等、救命胴衣等
(28) その他運動用具、雑貨、動物、肥料、飼料、農薬、食料品、その他

役務の提供等(業務委託)

営業品目説明(具体的事例)
(1) 広告・宣伝広告、宣伝、番組制作、映画、ビデオ、広報、イベント企画等
(2) 写真・製図写真撮影、製図、設計、図面、製本等
(3) 調査・研究調査、研究、計量、計測、証明、統計、市場、交通、シンクタンク、文化財調査、検査、測量等
(4) 情報処理情報処理、入力、データ作成、バックアップ、システム保守、ソフトウエア保守、統計、集計、データエントリー、媒体変換等
(5) 翻訳・通訳・速記翻訳、通訳、速記、筆耕等
(6) ソフトウエア開発プログラム作成、システム開発、WEBシステム構築、ネットワーク、オペレーション等
(7) 会場等の借り上げ会議施設借り上げ、会場、イベント、設営等
(8) 賃貸借事務、パソコン、機器、自動車、植物、動物、情報機器、医療機器、イベント用品、建物、寝具、植木、物品等
(9) 建物管理等各種保守管理管理、建物保守、監視、清掃、造園、警備、廃棄物処理、害虫駆除、機器保守、電話交換等
(10) 運送タクシー、ハイヤー、荷造り、運送、倉庫、旅行等
(11) 車両整備自動車、車両、航空機、ヘリコプターの整備等
(12) 船舶整備船舶の整備
(13) 電子出版電子出版、CD-ROM、DVD-ROM制作等
(14) 防衛用装備品類の整備防衛用武器等、防衛用施設機器等、防衛用通信電気機器等、防衛用航空機用機器等、防衛用船舶用機器等、防衛用一般機器等、防衛用衛生機材等、防衛用その他機器等の整備
(15) その他医事業務、検体検査、フィルムバッチ測定等の各種業務委託、登記関連業務、その他

物品の買受け

営業品目説明(具体的事例)
(1) 立木竹ただし、国有林野事業を行う林産物の買受けを除く
(2) その他鉄屑回収、古紙回収、国有地買取、車両等買取等

申請できる品目数に上限はありませんが、ネット情報にあるような「全部申請しておいて、落札できたら下請けを見つければいい」は通じません。必ず審査省庁(大臣官房室会計課)から補正依頼が来ます。

入札参加できる省庁と地域

入札参加できる機関

国のすべての省庁・官庁と地方支局分局、外局やその付属機関も対象となります。
経営者に身近なところでいえば、ハローワーク、税務署、運輸局、法務局なども対象です。
また、独立行政法人や国公立大学、国立病院なども含まれます。
つまり、国が運営しているところほぼすべてです。

『全省庁統一』資格ですので、これひとつあれば、取引先毎に入札資格を取得する必要はありません。

入札参加できる地域

入札の参加地域は、全国8ブロックに分かれています。関東甲信越地域だけ選択でもいいですし「日本全国」も可能です。
・北海道
・東北
・関東甲信越
・東海
・北陸
・近畿
・中国四国
・九州沖縄

国と地方自治体の入札資格は別物になります

例えば、「検察庁」は国の組織ですから全省庁統一資格、「警視庁」は東京都の管轄なので東京都入札参加資格がそれぞれ必要です。
東京都内にあっても区市町村が運営している場合は、それぞれの自治体の入札参加資格を取らなければなりません。

「等級」について

入札参加資格は会社の体力によって等級分けされます。
これは入札資格申請時の添付書類により、年間売上高・自己資本額・流動比率・営業年数などからポイント制で計算されます。
取引企業の信用度調査と思ってください。

この「等級」で何が違ってくるのかというと、等級が上がればより予定価格の高い入札にも参加できる、ということです。

基本的は、
 A = 大企業
 B = 中堅企業
 C = 中小企業
 D = 零細企業
といった区分になります。

それならランクを上げたい、というのは誰しも思うところですが、申請時に提出した財務諸表・履歴事項全部証明書などによって裏付けされますので、小細工は無理です。

 ただし、実際の入札案件では1つの等級だけに限定するのではく、
”役務の提供の資格を有していること”や”等級A,BまたはC”などという指定が多いので、入札の範囲は広がります。

格付方法の詳細と、自動計算ツールを用意しました。こちらをご活用ください。

全省庁統一資格の申請方法

申請できるかどうかの条件

・資本金や会社の規模による制限はありません。

・営業年数による制限はありません。決算、税務申告をまだ一度していない場合でも申請可能です。

ただし、所得税、消費税、地方消費税の未納がある場合は、申請できません。

資格取得可能です

  • 小規模事業者
  • 個人事業主
  • 赤字事業者
  • 開業したばかり

申請時に提出する書類

(1) 履歴事項全部証明書

(2) 納税証明書その2

(3) 納税証明書その3の3

(4) 直近の決算報告書

などの提出が必要となります。
詳しくはこちらの記事を参考にしてください

申請時に用意する書類など

 申請時には以下の情報が必要となりますので、準備しておいてください。

(1) 前々期の決算報告書

   過去2期分の売上金額を記入するため

(2) 全役員の氏名・フリガナ・住所・性別・生年月日

   役員一覧表を記入するため

申請の前に決めておくべき事項

(1)営業品目
 入札参加を希望する営業品目を決めておきます。
申請できる品目数に制限はありませんが、「定款の目的に記載されている事業であること」などの制約があります。
 詳しくは、こちらの営業品目:申請の条件と注意ポイントのページを参照してください。

(2)申請先の省庁

 申請の提出先となる省庁をひとつ決めておきます。
資格審査はこの省庁が代表して行います。
取得した入札資格は、その省庁に限らずすべての省庁に対して有効です。

申請先・申請方法

(1) 『調達ポータル』の「統一資格審査申請」画面よりオンラインで申請ができます。

(2) 入札に参加したい省庁の窓口に申込書を郵送も可能です。
   申込書はこちらからダウンロードできます。

どちらの方法による場合でも、「申込書記入要領」をを必ず熟読してから申請してください。
オンライン申請する場合は「操作マニュアル」も必ず熟読してから申請してください。
(合計170ページあるのが難点ですが)

重ねて言いますが、記入要領を読まないとわからない細かい決まりがたくさんありますので、よく読んでから記入してください。
間違えると補正依頼がきて、審査完了までとても時間がかかってしまいます。

営業品目の選択に注意

営業品目の選択数に制限はありません。(ならばすべての品目を申請しておきたい、と考えるかもしれませんが)

ただし、入札参加を希望する営業品目は「定款の目的に記載がある」ことが必須となります。
・実際に営業はしていなくとも定款に記載してあれば申請できます。
・営業実績を示す書類を提出することで認めてもらえる場合もありますが、審査担当部署(省の大臣官房会計室)に説明することになります。

申請から資格取得までどれくらいかかる?

「調達ポータル」からの申請は、申請時に指定した省庁で審査されます。

審査期間は省庁によって時期によってもかなり違いますが、数日から数週間かかります。
審査が終わると結果通知メールがきて、それから1週間程度で紙の審査結果通知書が送られてきます。

標準処理期間は30日ですので、だいたいそれくらいを目安にしてください。

資格を取った後はどうなる

「審査結果通知書」が入札参加資格者証となりますので、通知書が到着すればその日から入札に参加できます。

有効期間と更新

  • 有効期間:  令和10年3月31日まで
  • 更新: 有効期限前に再申請が必要(自動更新なし)

「調達ポータル」を利用した電子入札

 国の一般競争入札は「調達ポータル」というWebサイトを使って、案件の検索・入札・契約・決済までを行うのが標準となっています。

 そのためにはまず「電子証明書」というICカードを取得しなければなりません。
 電子証明書は全省庁統一資格の申請とは別に、民間の発行会社に申し込むことが必要です。(全省庁統一資格を取得すれば自動的に送られてくるものではない)

 電子証明書の取得と入札用PCの設定についてはこちらの記事をご参照ください。

全国対応:全省庁統一資格を取りたいときはご相談ください。

自分一人で悩む必要はありません

こんなときは申請代行がおすすめです。

 確実にスムーズに入札参加資格を取りたい

 入札したい案件があって急いでいる

 近くに申請代行してくれるところがない

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最終更新日:2025年9月8日