産業廃棄物収集運搬許可取得のポイント
時間がかかるので、情報収集して最短スケジュールを考える。
産業廃棄物収集運搬許可を申請する前に、講習を受けることが必要です。
講習会は実施回数が少ないうえ定員が限られているので、なかなか受けづらくなっています。
また、申請じたいが予約制でかなり待たされ、
書類の不備を指摘されたらやり直し、
さらに申請してから許可が下りるまでそうとう時間がかかります。
できるだけ早く営業許可を取得するためには、まず手続きの流れを知っておくことが重要です。
- 1. 産業廃棄物収集運搬許可取得のポイント
- 1.1. 時間がかかるので、情報収集して最短スケジュールを考える。
- 2. 許可申請前に確認
- 2.1. 本当に産廃の許可が必要ですか?
- 2.2. 何を、どこに、どうやって運びますか?
- 2.2.1. ※特別管理産業廃棄物
- 3. 許可取得のための要件
- 3.1. ヒトの要件
- 3.1.1. 講習会を受ける
- 3.1.2. 欠格要件にあたらないか確認
- 3.2. モノの要件
- 3.3. おカネの要件
- 3.4. その他の要件
- 4. 許可申請の手続き
- 4.1. 意外と時間がかかるので、スケジュールを作っておくことが大切
- 5. 必要書類
- 6. 許可の変更と更新
- 7. 遺品整理・ゴミ屋敷/空き家の片づけなどについて
- 8. 許可申請代行
- 8.1. 代行手数料
許可申請前に確認
スムーズに許可を取るために、最初に確認しておきたい事項です。
本当に産廃の許可が必要ですか?
家庭の不用品、引っ越しのゴミ、遺品整理などは一般廃棄物となります。産業廃棄物収集運搬業許可は必要ではありませんが、事業として行おうとする場合は一般廃棄物の収集運搬許可が必要となります。
何を、どこに、どうやって運びますか?
・特別管理産業廃棄物を扱うには、「特別管理産業廃棄物収集運搬業許可」が必要です
・都道府県をまたいでの運搬にはその両方の県の許可が必要となります(通過するだけの県のは不要)
・運ぼうとする産業廃棄物の品目を、運ぶ先の中間処理施設で扱っていますか
・運ぼうとする産業廃棄物によって、車輛や容器の要件が違ってきます
・場合によっては積替え保管を必要とするかもしれません
※特別管理産業廃棄物
廃油など引火性のあるもの、腐食性のある酸やアルカリ、病院から出る廃棄物、石綿や水銀など人体に有害なものなどは、「特別管理産業廃棄物」として区分し、普通の産業廃棄物より厳格な処理方法や保管方法などが定められています。
許可取得のための要件
ヒトの要件
講習会を受ける
許可を申請する前に日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)の実施する「産業廃棄物収集・運搬過程」の講習を受けなければなりません。
講習は、法人の場合は代表者または役員など、個人の場合は申請者本人が受講する必要があります。
講習会には以下の2つの形式があります。
① オンライン
パソコンでオンライン動画の講習を全部見た後、試験会場に出向いて修了試験を受ける。
試験は県単位で開催され、各県で年に3~5回程度ですが、日本全国どこででも受けることができます。
急いでいる場合は日程が近い他の県の開催地まで出張することになります。
② 対面
講習会会場まで行って、2日間の対面講習を受ける。最後に修了試験がある。
2023年度は全国まとめても12回しか開催されていません。
2024年度以降は開催回数も増えると思いますが、人数に制限がありますので希望しても受講できるとは限りません。
修了試験のあと、修了証(試験結果)が届くまで、3週間程度かかります。
受講費用は、
産業廃棄物収集・運搬業の許可を新たに受けようとする方 ¥30,500
特別管理産業廃棄物収集・運搬業の許可を新たに受けようとする方 ¥46,600
欠格要件にあたらないか確認
個人事業主の場合は申請者本人、株式会社の場合は役員や大株主が以下の「欠格要件」に当てはまってしまったときは許可はおりません。
許可を取得した後でも、「会社の役員が暴力事件を起こしてしまい、実刑判決を受けた」というときは、その許可は取り消しになります。
簡単にまとめると、破産者・暴力団員は許可を受けられない、過去に刑事罰や行政処分を受けたことがある場合は要注意、です。
- 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ない者
- 禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しないもの
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律等に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 次に掲げる許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
- 一般廃棄物収集運搬・処分業の許可の取消し
- (特別管理)産業廃棄物収集運搬・処分業の許可の取消し
- 浄化槽法第41条第2項による許可の取消し
- 暴力団員等がその事業活動を支配するもの
- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
モノの要件
車輛
車検証では以下の点が要注意です。
・期限 車検の期限切れになっていないこと。
・使用者欄 個人事業主なら個人の名前、会社の場合は会社名義になっていること。リースの場合も同様です。節税対策といって社長名義にしてしまうと許可が下りません。
その他、
・借りた車輛でも許可は取れます。この場合、1年以上の契約期間のある賃貸借契約書、使用承諾書などが追加で必要です。
・汚泥などで水分が多いものは水密仕様ダンプ、密閉コンテナ車にするなどの対策が必要となります。
・感染性産業廃棄物(病院から出た廃棄物など)の場合は保冷車を要求されますので、事前に自治体に確認しましょう。
容器
産廃物を入れるフレコンバッグやドラム缶、ポリタンク、ブルーシートなどの容器が準備してあることも必要です。
ドラム缶は、品目によってオープンドラム、クローズドドラム、ケミカルドラムなど使い分けが必要です。
蛍光灯を扱う場合は、他の産廃物と分ける必要があるので、それ専用の箱をひとつ用意します。
おカネの要件
「資本金」は許可の要件となっていないので、いくらでもかまいません。
これから個人事業主として、または会社をつくって産業廃棄物収集運搬を始める場合も、厳しい要件はありません。
気をつけておくべきは、いまある会社が新たな事業として始めようというときです。
1 直近の決算で債務超過(会社の資産より負債が大きい状態。貸借対照表の右下、「純資産合計」がマイナスになっていたらこれ。)
2 直近の決算で赤字
3 過去3年分の通算で赤字
1だけか、1+2のときは、提出書類がひとつ増えます。
1+2+3、つまり全部当てはまる場合は、公認会計士などにお願いして「財務診断書」を作成してもらうことなりますが、それでも許可取得は無理、という場合もありえます。(財務診断書作成費用は8~10万円くらい)
その他の要件
定款の事業目的
株式会社の場合、定款の事業目的に「産業廃棄物処理業」等の記載があることが必要です。(なくてもいいところもあるが、千葉県では必須)
許可申請の手続き
意外と時間がかかるので、スケジュールを作っておくことが大切
- 講習会
- 現在はオンライン講習が主流ですが、講習を受けた後、試験会場まで行って修了試験を受けなけれなりません。
試験の日程と開催地を先に調べておきましょう。
申し込みからテキストが送られてくるまで2週間、約11時間の動画を見た後、試験を受けます。
どうしても近場でという場合数か月待つこともありえます。
試験を受けてから修了証が届くまで2~3週間かかります。
- 許可申請の予約
- 許可申請は(ほとんど)予約制です。申請書を持っていく前に必ず電話で予約を入れておきます。
自治体にもよりますが、申請するまでに1か月待たされるところもあります。
- 品目のチェック
- 扱う産業廃棄物の品目をよく検討します。
あとから品目の追加をすると変更許可申請が必要となるので、ここで漏れがないようにします。
- 許可申請
- 許可申請書と添付書類(下記)を準備して、予約した日に申請に行きます。
申請手数料は81,000円で、収入証紙で納めます。
- 審査
- 許可申請書の提出から約2か月かかります。
- 許可
- 無事に審査終了すると、許可証が交付されます。
車輛に貼らなければならいステッカーは自分で用意します。
必要書類
許可申請では、申請書と、添付様式と呼ばれる書類(事業計画、収集運搬の具体的内容、車両容器、資産状況についてなどを記入)を提出します。
それに加えて、以下の資料や証明書などが要求されます。都道府県によって、必要な書類は多少異なります。
提出の方法もまちまちで、例えば千葉県だと、インデックスをつけること、2穴パンチで穴を空けて綴じ紐で綴じることなどが指定されています。
法人で申請の場合
- 講習会終了証のコピー
- 車検証のコピー 各車の分
- 車両の写真
- 容器の写真(ドラム缶、フレコン等)
- 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
- 定款のコピー
- 駐車場に関わる土地の賃貸借契約書のコピー(借地等の場合)
- 駐車場に関わる土地の履歴事項全部証明書(自社所有の場合)
- 住民票(本籍地記載のもの) 役員等申請書に記載した各人の分
- 登記されてないことの証明書 役員等申請書に記載した各人の分
- 決算書の表紙,貸借対照表、損益計算書、株主資本変動計算書、個別注記表 3期分のコピー
- 納税証明書 3期分
- 駐車場付近の見取り図
決算期を3年分迎えていない法人でも収支計画書などの添付により申請は可能です。
個人で申請の場合
- 講習会終了証のコピー
- 車検証のコピー 各車の分
- 車両の写真
- 容器の写真(ドラム缶等)
- 駐車場に関わる土地の賃貸借契約書のコピー(借地等の場合)
- 駐車場に関わる土地の履歴事項全部証明書(自己所有の場合)
- 住民票(本籍地記載のもの)
- 登記されてないことの証明書
- 直前3年分の確定申告書
- 事務所・駐車場付近の見取図
許可の変更と更新
更新許可申請
営業許可は5年ごとに更新許可申請が必要になります。(優良産廃処理業者認定制度の認定を受けると7年に延長)
変更許可申請
収集運搬する品目が増えた時など、事業範囲の変更には変更許可申請が必要になります。
変更届出
以下の場合は変更届出をしなければなりません。
・事業主又は法人の住所の変更(住所表示の変更を含む)
・個人事業主の氏名又は法人の名称、組織の変更
・役員、株主、出資者、政令使用人等の変更
・運搬車両等、運搬機材の変更
・駐車場等の変更
新規許可申請
個人事業主で始めて、株式会社に変更するときは、新規で許可の取り直しとなります。個人の許可は引き継げません。
遺品整理・ゴミ屋敷/空き家の片づけなどについて
遺品整理作業、片付け作業自体に許可は要りませんが、
その際に出たゴミを有料で処分するには「一般廃棄物収集運搬業許可」が必要となります。
産業廃棄物収集運搬業の許可をとったとしてもこれらのゴミは扱えません。
「一般廃棄物収集運搬業」は市町村の許可となりますが、
そもそも申請を受け付けていないか、受け付けていたとしても許可は下りないのが現状です。
とりあえず産業廃棄物収集運搬業の許可だけでも、という方も多いのですが、
一般家庭を対象とした営業だけでは許可申請もできません。
残念ですが、現在はそういう法律となっています。
許可申請代行
自分で申請はちょっと、
と思ったときは当事務所にお任せください。
- 講習会申込みからサポートして欲しい
- とにかく最短で許可をとりたい
- 自分でやって許可がとれるか不安
代行手数料
※講習会受講料、役所へ払う申請手数料など、別途実費がかかります。
個人の場合
80,000円(税別)
法人の場合
120,000円~(税別)
法人の場合は、会社の役員数などにより料金が異なります。
積替保管を含む場合
280,000円~(税別)
積換保管をする場合は、許可が下りるまで年単位の時間と手間を要します。予めご相談ください。
最短で産業廃棄物収集運搬許可を取得したいときはご相談ください
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