創業計画書はプロに作ってもらった方がいいか?

日本政策金融公庫や信用保証協会の保証による創業融資を受けるには、「創業計画書」の提出が必須です。

創業計画書は融資の成否を左右する重要なものです。

「あなた自分じゃできませんよ。一流のプロが丸ごと全部やってあげます」
「自分でやっても成功率は10%くらですよ」
「審査に落ちたら半年間は再申込できませんよ」
などなど、ネットではいろいろな情報があって、

「失敗できないし、やはりプロに頼んだ方が」と悩んでいる方もいらっしゃると思います。

創業計画書はプロに作成してもらった方がいいか?

結論

結論から言ってしまうと、プロに丸投げ*するのはおすすめしません。

キラキラ企画書」を書いてもらっても、自分で説明ができなければ逆効果だからです。

かといって、自分で作成したものをそのまま提出したとしても、融資を受けられるかは微妙です。
(自信があってもです。理由は後ほど説明します。)

信頼できる専門家の助言を受けながら作る、またはいっしょに作ってもらう、がいちばんよいと思います。

そうして自分で作った創業計画書であれば、必ず良い結果を引き出すことができます。がんばってください。

※丸投げ ここでは創業計画書の作成すべてをプロ(「融資のプロ」「資金調達の一流コンサルタント」という会社)が行うこと。
依頼者は簡単なヒアリングを受けるだけでいい。成功例をコピーして使うので融資成功率が高いとされる。

融資審査で重要視される項目

まだ何の実績もない、経営者としての経験もない人にお金を貸すのですから、金融機関としても慎重にならざるを得ません。

実績がない人(会社)をどこで判断するかといえば、過去の数字がない以上、

経営者の「事業に対する熱意」と「人柄」

きちんと返済してくれる人だという「信頼感」

が特に重視されることになります。

プロに丸投げの弱点

「失敗できないから」「面倒だし忙しいから」、理由はいろいろあると思いますが、創業計画書をプロに丸投げして作ってもらったとします。

すると、

① 金融機関はプロがまるごと作ったものとすぐわかりますから、こう考えることと思います。

「これから自分自身が営む事業なのに、計画はぜんぶ他人まかせなのか」

自分と自分の事業をアピールするはずの創業計画書で、逆に「無責任な人」という印象を植え付けます

② 融資面談で、

・創業計画書の内容について聞かれても説明できない

・「作ってもらったのでよく分かりません」とストレートに答えた

ということになると、何の計画もありませんと言っているのと同じですから、融資担当者の心証は最悪です。

コツコツ自己資金を貯めてきて、業界経験も豊富という人は、それだけで審査はかなり有利です。

創業計画書で足元をすくわれないよう注意しましょう。

書類を作成

自分で創業計画書を作るときのヒント

丸投げはおすすめできないといいました。では、ご自分で作るときはどうしたらいいでしょうか。

(具体的な記入例は何ひとつありませんが、わかっているのといないのとでは雲泥の差のつく心構えです。)

1.専門家レベルは求められていない

そもそも、創業計画書の内容に専門家レベルは求められていません

他の融資と比べて、とても簡略化されているのです。
基本はこれだけです。 ->日本政策金融公庫の操業計画書フォーマット

PowerPintで30ページ・表やグラフ、分析図が満載といったカッコいいものは要求されていません。

注意:
だからといって甘く見てはいけません。
クルマのローンを申し込むような「申込用紙を書けば誰でも借りられる」というものではありません。
必ず以下もお読みください。

2.熱意を伝えたいが、熱意だけでは伝わらない

創業計画書では、創業者自身の「熱意」と、事業についてきちんと考えているという「やる気」が伝えられるか、が大切です。

このとき、熱意が先走って、創業計画書がうまくまとめられないという方は結構います。

自分の作ろうとする製品がどれだけ性能が高いか、
提供するサービスがいかに画期的か、
いかに社会に貢献するか、のアピールに偏りすぎていて、

販路の確保、売上や経費のことは無頓着ということになってしまいがちなのです。

創業計画に必要なのは、「売上が上がって利益がでるビジネスモデルだと示すこと」です

こんなにいいものなんだから売れるに決まっている、と主張するだけでは、残念ながら融資は受けられません。

また、営業は得意だから面談でOKさせてみせる、といって創業計画書を軽視するのもたいへん危険です。(いくらトークがお上手でも、です)

3.利益がでるという根拠を示す

金融機関の絶対の判断基準は「貸したお金をきちんと返してくれるか」です。

創業計画書では、返済できる根拠を数字で示す必要があるのです。

『こういう内容の事業を計画しています。販売先はこちらを予定しており、材料はここから仕入れます。

競合はこうなっていますが、当社の強みのこれを活かして対抗できます。

月々の売上げはこれくらいと予想してしてその根拠はこうです、経費がこれだけかかるので、利益はこれだけでます。』

ーーー> なので、毎月の返済が確実にできます。

ということを、きちんと説得力をもって伝えられるかがカギとなります。

見込顧客のリストだったり、近隣の競合店調査の結果だったり、他にも、

融資担当者が見ても「これなら売上が確保できそうだ」と思えるような客観的資料をつけられれば、説得力が増します。

そして、創業計画書にかならず添付したいのが、「収支計画表」と「資金繰り表」です。

テンプレートはネット上でたくさん見つかりますが、数字が苦手な場合は、会計に慣れている人に相談したほうがいいかもしれません。
思い違いが防げますし、経営の勉強にもなります。

4.できるところまで作ってみる

自己資金(自分でコツコツためたお金)と経験値(業界で長く働いた経験)が十分あれば、融資の審査では高く評価されます。

ですから、それら2つがしっかりしているのであれば、創業計画書は、上記2と3の点をきっちり押さえること、

そして、面談ではその内容を自分の言葉で説明することです。

実際に作成するときは、所定の創業計画書フォーマットだとあまりに記入欄が狭く、伝えたいことが書き切れません。
無理に詰め込まないで、別紙という形でWordなどで書くことをおすすめします。

もし、事業計画の作成が思うようにできない(熱意をうまく文章にできない、資金繰り表をどう書いていいかわからない)
という場合はご相談ください。

また、自己資金もしくは経験値が十分とはいえないので不安、というときも、まずは当事務所にお問い合わせいただければと思います。

5.面談まで考えると助力があった方がよいかも

 融資審査の面談では、たとえば、

「予想どおりの売上げとならなかった場合、どうしますか?」と質問されることがあります。

実際に、日本政策金融公庫のアンケート調査でも、創業後黒字になるまで半年以上かかったのがほとんどですので、

「もしものときどうする」について考えておくことも経営者には必須です。

創業計画書作成の際に、そのような事項まできちんと検討されていれば、融資の確率はアップします。

作り方の要点を教えてもらう、いっしょになって考えてもらう、といった方法が得策です。

創業計画書を自分で作ったほうがいい最大の理由

あたなの技術がどんなに素晴らしいものでも、あなたがどんな魅力的な人でも、なんのプランもなければ事業は長続きしません。
経営者としての最初の一歩は自分で事業計画を考えること、です。

1.経営について考える絶好の機会となる

創業する「夢が叶った」、開店さえしてしまえば、そのあとは「何となく」うまくいというものではありません。

事業の形態、目標や将来のビジョンについて、事業全体について最初に考えておくことは、その後の事業運営にとって必須です。

中小企業庁によれば、事業計画を自分で作ったことがあるかないかが、小規模企業の経営実績に大きく影響しています。

信頼できる専門家や先輩経営者のアドバイスを受けながら事業計画を作成することは、
あなたの経営者としてのポテンシャルを劇的に向上させます。

2.経営のためのツールとして使えるようになる

創業計画書(事業計画書)もそうですが、特に資金繰り表は経営のために不可欠なツールです。

資金の流れを把握し将来を予測することで、資金繰りを計画でき、資金ショート(≒倒産)防止に役立ちます。

これは、いざという時になって始めても間に合いません。

3.事業計画書作成の経験は将来の資金繰りに役立つ

事業が軌道に乗ってきて、さらに拡大フェーズにくると、

設備を増強したい、新店舗を出すためにお金がいる、という資金調達の必要が出てきます。

また、あまり考えたくないですが、思ったように売上が伸びない場合も、お金を借りる必要が出てくるでしょう。

その融資の時にも、銀行から事業計画書と資金計画書の提出を求められます。

民間の金融機関からの借入は創業融資より難易度が高くなりますが、

創業融資のときに作成した経験と基本的には同じです。

創業時に経験し身につけておけば、そんなときに説得力を持って話を進めることができるます。

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