IT導入補助金:申請のしかたとポイント
IT導入補助金は、申請が簡単、採択率が高い、少額の投資でも補助の対象となる、
またインボイス対応での利用ならパソコンなどのハードウエア購入経費も補助されるなど、使い勝手のよい補助金です。
ただし補助金事務局に登録されたITツールを、登録された販売業者(「IT導入支援業者」といいます)からしか購入できないので、
目的のITツールが登録されているか、そして「IT導入支援業者」選びがこの補助金を利用するポイントになります。
- 1. どんなITが対象になるか・補助される金額は?
- 1.1. 自社の「業務効率化や売上アップ」のためのソフトウェアを導入する〜「通常枠」で申請〜
- 1.2. インボイス制度に対応するためのソフトウェアと、それを使うためのパソコンなどの購入〜「インボイス枠(インボイス対応類型)」で申請〜
- 2. 申請の条件など
- 2.1. 中小企業・小規模事業者であること
- 2.2. 申請の直近月において、申請者が営む事業場内の最低賃金が法令上の地域別最低賃金以上であること
- 2.3. 「GビズID」を取得すること
- 2.4. 「SECURITY ACTION」宣言をしていること
- 2.5. IT導入支援業者との共同申請
- 2.6. 「ミラデジ経営チェック」をしていること(通常枠で必須)
- 2.7. 労働生産性を3%以上向上させる事業計画を作成して実行すること(通常枠で必須)
- 2.8. 中小企業で150万円以上の補助金を申請する場合の条件
- 3. 申請に必要な書類
- 3.1. 法人の場合
- 3.2. 個人事業主の場合
- 4. 申請の方法・流れ
- 4.1. スケジュール
- 4.2. 申請上の注意
- 4.3. 申請手続きの流れ
- 5. 加点項目
- 5.1. 通常枠での加点項目
- 5.2. インボイス枠 (インボイス対応類型)での加点項目
- 6. 千葉県内の企業様限定で申請サポートを行っています。
どんなITが対象になるか・補助される金額は?
IT導入補助金は、何を導入するか・費用はどれくらいか・企業単独か共同で実施するか、などによって申請の方法が変わってきます。
具体的には、
「通常枠」
「インボイス枠(インボイス対応類型)」
「インボイス枠(電子取引類型)」
「セキュリティ対策推進枠」
「複数社連携IT導入枠」
という5つの枠があって、どれか一つを選んで申請するという方式なのですが、
ここでは一般的な企業でよく使われる「通常枠」・「インボイス枠(インボイス対応類型)」に限定して説明します。
自社の「業務効率化や売上アップ」のためのソフトウェアを導入する〜「通常枠」で申請〜
<補助対象>
ソフトウェアの購入費用やシステムの構築費用と、クラウドの場合は利用料2年分が補助対象となります。
(1)顧客対応・販売支援のためのソフトウェア
(2)決済・債権債務や資金回収の管理のためのソフトウェア
(3)商品の供給・在庫・物流を管理するためのソフトウェア
(4)総務・人事・労務・給与などのデータ化や計算・管理を効率化するためのソフトウェア
(5)会計・財務・経営情報などソフトウェア
(6)その他、会社独自の業務を効率化するためのソフトウェア
(7)会社独自の業務ではないが生産性を向上できるソフトウェア〜これだけでの申請は不可
さらに、導入関連費も補助対象となります。
・オプションの機能拡張、データ連携ツール・セキュリティツール
・導入にかかるサービス(コンサルティング、導入設定、マニュアル作成、研修など)
・保守サポート(期間限定)
<補助額>
補助率 導入にかかる経費の1/2
補助上限金額
上記補助対象のうち1つ〜3つを導入する場合 150万円未満
〃 4つ以上をまとめて導入する場合 450万円以下
<注意>
・補助対象となるのはソフトウェア(クラウド利用料も含む)とその導入のためのサービスにかかる費用のみです。
パソコンやスマホ、カード決済用の端末、測量用ドローンなどのハードウェアは対象外となりますのでご注意ください。
・ホームページ作成やECサイトの構築は対象外です。
・補助対象額に下限があり、5万円となっています。したがって10万円以上の経費がかかる場合にのみ申請ができます。
インボイス制度に対応するためのソフトウェアと、それを使うためのパソコンなどの購入〜「インボイス枠(インボイス対応類型)」で申請〜
<補助対象>
インボイス制度対応のためのソフトウェアの購入費用と、クラウドの場合は利用料2年分が補助対象となります。
パソコンやPOSレジなどのハードウェアは、ソフトウェアを導入した場合にのみ申請可能です。(ハードウェア単独の購入にIT導入補助金は使えません。)
(1)インボイス制度に対応した会計ソフトウェア
(2)インボイス制度に対応した受発注ソフトウェア
(3)インボイス制度に対応した決済関連ソフトウェア
(4)上記ソフトウェアを使うためのPC / タブレット / プリンター / スキャナ / 複合機
(5)上記ソフトウェアと連携して機能するPOSレジ / モバイルPOSレジ / 券売機
さらに、これらも補助対象となります。
・オプションの機能拡張、データ連携ツール・セキュリティツール
・導入にかかるサービス(コンサルティング、導入設定、マニュアル作成、研修など)
・保守サポート(期間限定)
<補助額>
補助率
(1) 会計・受発注・決済関連ソフトウェアの補助率
中小企業と小規模事業者で補助上限金額が変わります。
ただし、補助額が50万円を超える分については一律2/3
<中小企業> 導入にかかる経費の3/4
<小規模事業者> 導入にかかる経費の4/5
(2) ハードウェアの補助率
一律 導入にかかる経費の1/2
補助上限金額
(1) 会計・受発注・決済関連ソフトウェアの補助上限金額
会計・受発注・決済ソフトウェアのうち1つだけを導入する場合 50万円以下
〃 2つ以上をまとめて導入する場合 350万円以下
(2) ハードウェアの補助上限金額
(いづれかのソフトと同時に導入する)PC・タブレット等については 10万円以下
(決済関連ソフトと同時に導入する)レジ・券売機等については 20万円以下
いくらくらいもらえそうかは補助金シミュレーター(インボイス対応類型)で計算してみてください。
<注意>
インボイス制度対応のための機能を持つソフトウェアのみが補助対象です。
ホームページ作成やECサイトの構築は対象外です。
申請の条件など
中小企業・小規模事業者であること
株式会社・合同会社などの法人企業と、個人事業主が対象となります。
小規模事業者は補助率が優遇される仕組みになっています。
小規模事業者とは、
①商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) 常時使用する従業員の数が5人以下の会社及び個人事業主
②サービス業のうち宿泊業・娯楽業 常時使用する従業員の数が20人以下の会社及び個人事業主
③製造業その他 常時使用する従業員の数が20人以下の会社及び個人事業主
申請の直近月において、申請者が営む事業場内の最低賃金が法令上の地域別最低賃金以上であること
「GビズID」を取得すること
IT導入補助金の申請はすべてオンラインで行います。
それにログインするための「GビズIDプライム」というアカウントが必須となります。
「SECURITY ACTION」宣言をしていること
IT導入補助金の申請には、「SECURITY ACTION(セキュリティ対策自己宣言)」を登録してあることが必須となります。
”★一つ星”と”★★二つ星”の2ランクありますが、どちらでも構いません。
IT導入支援業者との共同申請
ソフトウェア(とハードウェア)の購入は、補助金事務局に認定された「IT導入支援事業者」からのみとなります。
知り合いの業者とか、なじみの販売店などから購入したものは補助の対象とはなりません。
「ミラデジ経営チェック」をしていること(通常枠で必須)
”事業者の皆様の経営課題をデジタル化により解決”のための診断で、通常枠で申請する場合は必須です。
労働生産性を3%以上向上させる事業計画を作成して実行すること(通常枠で必須)
1年後に労働生産性を3%以上、向う3年間でも年平均成長率3%以上となるような事業計画を作る必要があります。
これについては毎年報告義務があります。
中小企業で150万円以上の補助金を申請する場合の条件
① 向こう3年間で、給与支給総額を年平均1.5%以上向上させること。
② 〃 、事業所内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上とすること。
これらを補助金申請時に従業員に対して表明すること。
そして、毎年実行し報告することが求められます。
実現されていない場合は、補助金の返還となります。
申請に必要な書類
法人の場合
① 履歴事項全部証明書
発行から3ヶ月以内のもの、法務局で取得
② 直近分の法人税の納税証明書「その1」または「その2」
管轄の税務署で取得、税務署の窓口で発行されているものに限ります。
個人事業主の場合
① 本人確認書類
運転免許証もしくは 住民票(発行から3か月以内のもの)
② 直近の所得税の納税証明書「その1」または「その2」
管轄の税務署で取得、税務署の窓口で発行されているものに限ります。
③ 直近分の確定申告書の控え(令和5年(2023年)分)
※税務署に受領(受付)されたことを証明できなければなりません。
・紙での提出なら、税務署の受付印がある控え
・e-taxの場合は、受付番号と受付日時が印字されていること。それがなければ「受信通知(メール詳細)」を出力して添付する。
※マイナンバー、保険者番号等の個人情報が記載されていない書類を提出すること。結構重要です。
マイナンバー、保険者番号等の個人情報が記載されている場合は、個人情報の記載個所を黒塗りにするなど判別できないようにすること。
申請の方法・流れ
スケジュール
2024年は、応募は通年で、いまのところ1ヶ月に一度のペースで締め切りがあります。
締切後約40日程度で交付決定(審査結果の発表)がされます。
第5次締切分 締切日 7月19日(金)17:00
第6次締切分 締切日 8月23日(金)17:00
申請上の注意
申請はIT導入補助金2024ポータルサイトの申請マイページより行います。
Windows上のEdgeまたはChromeブラウザを使います。
(Mac、スマホからの申請はできません。もし入力ができたとしても結果は保証されません。)
申請ののち、交付決定(審査結果の通知)が届いてから、ソフトウェア等の購入(契約、発注)を行います。
その前に購入契約したものは補助の対象外となりますので注意してください。
また、交付決定されたらすぐ補助金が振り込まれるのではなく、
まずは全額自己負担で購入し、その後実績報告書(実施した事業内容と経費の精算)を提出して
それが承認された後にようやく補助金を受け取ることができます。
申請手続きの流れ
GビズIDプライムの取得
IT導入支援事業者・ITツールの選定(契約ではありません!)
申請に必要な書類を揃える・セキュリティ対策自己宣言・みらデジ経営チェック
IT導入支援事業者による申請開始(「申請マイページ」の開設)
申請者が「申請マイページ」で申請情報の入力
IT導入支援事業者がITツール情報の入力、申請内容の確認
申請者が事務局へ申請提出
加点項目
いわゆるボーナスポイントで、これを実施しておけば審査で確実に有利になる項目です。
加点対象となる取り組み等は以下の通りです。
対応できているものがあれば証拠書類はしっかり提出しましょう。
なお、賃金の引き上げなどは実施できたかどうかチェックされますので慎重に検討する必要があります。
お勧めとしては、「みらデジ経営チェック」はやっておくべきです。
通常枠での加点項目
1) 地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画の承認を取得しその実施期間内であること。
2) 交付申請時点で地域未来牽引企業に選定されており、地域未来牽引企業としての「目標」を経済産業省に提出していること。
3) 導入するITツールとしてクラウド製品を選定していること。
4) 導入するITツールとして「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を選定していること。
5) 導入するITツールとしてインボイス制度対応製品を選定していること。
6) 補助金申請額150万円未満の申請者であって、事業計画期間において、以下の要件をすべて満たす3年の事業計画を策定し、実行していること。
・事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること。
・事業計画期間において、給与支給総額を年平均成長率1.5%以上向上(被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業・小規模事業者等が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年平均成長率1.0%以上向上) させること。
※なお、上記に加え、事業計画期間において、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+50円以上の水準にした場合、更なる加点を行う。
7) 補助金申請額150万円以上の申請者であって、た事業計画期間において、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上の水準にしていること。
8) 令和5年度に「健康経営優良法人2024」に認定された事業者であること。
9) 「地域 DX 促進活動支援事業」における支援コミュニティ・コンソーシアムから支援を受けた事業者であること。
10) 介護保険法に基づくサービスを提供する事業所で、介護職員等特定処遇改善加算を取得しているものを運営している法人。
11) 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づく認定(えるぼし)を受けている者、もしくは次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づく認定(くるみん)を受けた者。
インボイス枠 (インボイス対応類型)での加点項目
1) 地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画の承認を取得しその実施期間内ていること。
2) 交付申請時点で地域未来牽引企業に選定されており、地域未来牽引企業としての「目標」を経済産業省に提出していること。
3) 事業計画期間において、以下の要件をすべて満たす3年の事業計画を策定し、実行していること。
・事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること。
・事業計画期間において、給与支給総額を年平均成長率1.5%以上向上(被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業・小規模事業者等が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年平均成長率1.0%以上向上)させること。
※なお、上記に加え、事業計画期間において、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+50円以上の水準にした場合、更なる加点を行う。
4) 導入するITツールとして「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を選定していること。
5) 令和5年度に「健康経営優良法人2024」に認定された事業者であること。
6) 「地域 DX 促進活動支援事業」における支援コミュニティ・コンソーシアムから支援を受けた事業者であること。
7) 介護保険法に基づくサービスを提供する事業所で、介護職員等特定処遇改善加算を取得しているものを運営している法人。
8) 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づく認定(えるぼし)を受けている者、もしくは次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づく認定(くるみん)を受けた者。
9) 中小機構が運営するデジタル化支援ポータルサイト「みらデジ」における「みらデジ経営チェック」を交付申請前に行っていること。
千葉県内の企業様限定で申請サポートを行っています。
IT導入補助金は、インボイス制度対応などでぜひ使っていただきたい期待補助金です。
(といういより、使わないと確実に損します)
また、自社で業務用ソフトウェアを導入したいという場合、とても高額になりますので、
最大で450万円の補助の補助をぜひ活用していただきたいと思います。
補助金申請が不安、何から始めていいのかわからない、というときは
当事務所の初回無料相談をご活用ください。
遠慮なくお問い合わせください050-6861-7330お電話受付時間 10:00-19:00 [ 土日除く ]
メールで問い合わせ 24時間受付中、土日祝でも大丈夫です