ものづくり補助金とは
ものづくり補助金は、正式名称を「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といいます。
製造業だけでなく、商業やサービス業でも、農業・水産業でも利用できます。
個人事業主でも申請できます。
補助金額は大きいですが、そのぶん審査も厳しい補助金です。
ものづくり補助金の申請締切は3月1日。
だいぶ先、と思えますが、
採択率を確実にアップさせるための方法「加点項目」を使うには2ヶ月以上前からの準備が必須です。
なるべく早めに取りかかることをお勧めします。
- 1. ものづくり補助金のしくみ
- 1.1. 会社の規模によって補助上限額が異なる
- 1.2. 補助金支給のための要件
- 1.2.1. ① 50万円以上の設備投資が必要
- 1.2.2. ② 申請の時点で補助事業の実施場所(工場や店舗等)を有していること
- 1.2.3. ③ 賃上げ要件を満たす3~5年の事業計画を策定していること
- 1.3. 2023年度は4つの特別枠と賃上げ特例がある
- 1.3.1. 各申請枠の概要
- 1.4. <大幅賃上げに係る補助上限額引上の特例>
- 2. 補助の対象となる経費・ならない経費
- 2.1. 補助対象と認められる経費
- 2.2. 補助対象と認められない経費
- 3. ものづくり補助金を申請する
- 3.1. ものづくり補助金申請の注意点
- 3.1.1. ① 申請した経費にしか補助金はでない
- 3.1.2. ② どんな事業でも、設備投資は必要
- 3.1.3. ③ 後払い、申請から補助金が振込まれるまで1年ほどかかる
- 3.2. ものづくり補助金の申込方法
- 3.3. 申請受付期間
- 4. ものづくり補助金を受取るまでの流れ
- 5. 審査に通るためのポイント
- 5.1. オリジナルの計画書を作成する
- 5.2. できるだけ加点項目をとる
- 6. まとめ
ものづくり補助金のしくみ
会社の規模によって補助上限額が異なる
従業員規模 | 補助上限額 |
---|---|
5人以下 | 750万円 |
6人~20人 | 1,000万円 |
21人以上 | 1,250万円 |
補助金支給のための要件
① 50万円以上の設備投資が必要
そもそもが製造業の設備投資を中心とした補助金だったので、機械装置・システム構築費への設備投資が50万円以上でないと申請できません。
それ以外の経費は、総額で500万円(税抜き)までが補助上限額となります。
② 申請の時点で補助事業の実施場所(工場や店舗等)を有していること
計画の実施を確認できる場所が必要です。
応募申請時点で建設中の場合や建設予定である場合は補助金は交付されません。
③ 賃上げ要件を満たす3~5年の事業計画を策定していること
・付加価値額 +3%以上/年 (付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費)
・給与支給総額 +1.5%以上/年
・事業場内最低賃金≧地域別最低賃金+30円
2023年度は4つの特別枠と賃上げ特例がある
従来は”生産性向上のための設備投資”一辺倒だったものづくり補助金ですが、
その目的もだいぶ変化して、製造業以外でも使いやすくなりました。
各申請枠の概要
通常枠
補助率 1/2
(小規模事業者は2/3)
・従来からあるものづくり補助金の基本的な体系です。
< 概要 >
革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援
< 申請の要件 >
前述の「補助金支給のための要件」全部をクリアしていること
回復型賃上げ・雇用拡大枠
補助率 2/3
< 概要 >
業況が厳しいながら賃上げ・雇用拡大に取り組む事業者が対象
< 追加要件 >
(1)前年度赤字であること
(2)常時使用する従業員がいること
(3)補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において、
給与支給総額および事業場内最低賃金の増加目標を達成していること。
できない場合は補助金を全額返金しなければならない。
グリーン枠
補助率 2/3
補助上限額 100万円~3,000万円
< 概要 >
取り組み内容により、エントリー類型・スタンダード類型・アドバンス類型に分かれ、類型と会社の規模によって補助上限金額が変わります。
< 追加要件 >
(1) 次のいづれかを行う事業であること
①温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービスの開発
②炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供の方法の改善
(2)3~5年の事業計画期間内に、事業場単位または会社全体での炭素生産性を年率平均1%以上増加させること
※申請には最低でも、前年度までのエネルギー種別・用途別使用量が毎月集計済みで、事業所内の年間CO2排出量を把握している必要があります。
グローバル市場開拓枠
補助率 1/2
(小規模事業者は2/3)
補助上限額 100万円~3,000万円
< 概要 >
海外事業の拡大・強化等を目的とした「製品・サービス開発」又は「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援。
以下の4つに分類されます。
①海外直接投資類型
②海外市場開拓(JAPANブランド)類型
③インバウンド市場開拓類型
④海外事業者との共同事業類型
< 追加要件 >
類型によって追加要件は異なりますが、たとえば②③では
・事業完了後、販売先・顧客の1/2が海外となること
・申請時に市場調査報告書の提出・事業完了後の追加報告書の提出
などとなります。
<大幅賃上げに係る補助上限額引上の特例>
大幅な賃上げに取り組む事業者については、従業員数に応じて補助上限額の引き上げができます。
大変魅力的ですが、要件を満たさない場合は返金となりますので、よくよく検討が必要です。
従業員数 5人以下 :各申請枠の上限から最大 100万円引き上げ
6人~20人:各申請枠の上限から最大 250万円引き上げ
21人以上 :各申請枠の上限から最大1,000万円引き上げ
< 要件 >
以下の全ての要件に該当するものであること。
(1)事業計画期間において、給与支給総額を年率平均6%以上増加とすること。
(2)事業計画期間において、地域別最低賃金+30円以上の水準とすることに加え、
事業場内最低賃金を毎年、年額+45円以上増額すること。
(3)応募時に、上記(1)(2)の達成に向けた具体的かつ詳細な事業計画を提出すること。
補助の対象となる経費・ならない経費
補助金は使途自由ではありません。あらかじめ申請していた経費だけが補助の対象となります。
さらに、補助対象経費として認められないものもあります。
以上が代表的なものですが、その他にも補助対象とならないものもあります。
公募要領の記載でも網羅はしていませんで、疑問があるときは申請前に必ず事務局に確認してください。
補助対象と認められる経費
- 機械装置費・システム構築費(50万円以上必要)
- 専門家経費(補助事業実施のために依頼した専門家のみ・補助率1/2)
- 運搬費(運搬・宅配・郵送料。機械装置購入時の運搬費用は機械装置費に入ります)
- クラウドサービス利用費(補助事業実施期間中だけ補助対象です)
- 原材料費(試作品の開発に必要な材料。非常に細かい管理と報告が必要となります)
- 外注費(新製品・サービスの開発に必要な加工・設計・デザインなどの一部を外注した場合。補助率1/2)
- 知的財産権等関連経費(特許出願・国際規格認証取得などにかかる弁理士費用、翻訳料。補助率1/3)
- 海外旅費(グローバル市場開拓枠のみ、補助率1/5)
申請前・審査完了前に発注・契約・着工・購入したものは補助の対象外です。ご注意ください。
補助対象と認められない経費
- 土地・建物の取得費
- 汎用性があり、補助事業以外でも使えるもの(クルマ、パソコン、事務機器等)の購入費
- 人件費
- 補助事業期間中に販売をするときの販管費等諸経費(テスト販売を除く)
- 機械装置設置場所の整備や基礎工事、建物の改修費用
- 再生エネルギーの発電を行うための発電設備及び附属設備(太陽光発電を行うためのソーラーパネルなど)
以上が代表的なものですが、その他にも補助対象とならないものもあります。
公募要領の記載でも網羅はしていませんで、疑問があるときは申請前に必ず事務局に確認してください。
ものづくり補助金を申請する
こんな時はお気軽にご相談ください。
- 具体的に何から始めていいのかわからない
- 事業計画書をどうまとめていいのかわからない
- 申請手続きをするための時間が取れない
- 設備投資のための資金が不足、融資もしてほしい
ものづくり補助金申請の注意点
① 申請した経費にしか補助金はでない
補助金は使途自由ではありません。
あらかじめ申請して認められた経費以外は補助の対象となりません。
② どんな事業でも、設備投資は必要
商業でもサービス業でも設備投資が必要です。設備投資が入っていない申請は却下されます。
③ 後払い、申請から補助金が振込まれるまで1年ほどかかる
先に全額自己負担で設備投資をして、事業が完了してから清算となります。
申請してから実際に補助金が振込まれるまで1年くらいかかります。
”資金が不足しているから補助金を使いたいのに”という企業のために
補助金申請が採択された場合にだけ使える融資もあり、当事務所でもサポートしています。
ものづくり補助金の申込方法
すべて電子申請となります。
申請のために”GbizプライムID”を取得しておくことが必須です。
申請受付期間
ものづくり補助金は通年応募で、3ヵ月程度に1回、締切日があります。
第16次応募受付中 令和5年11月7日まで
※公募要領は、ものづくり補助金総合サイトで確認してください。
ものづくり補助金を受取るまでの流れ
ものづくり補助金を受けようと思うと、かなりのハードルを越える必要があります。
- 1 GbizIDの取得その他の準備
- ものづくり補助金はすべて電子申請となります。
申請のために”GbizプライムID”を取得しておくことが必須です。
また、加点項目となる認定の申請、宣言の登録などもこの時期から始めます。
特に経営革新計画の認定は4か月以上かかりますので、できるだけ早めに申請します。
- 2 事業計画の策定
- 補助金申請のカナメとなる「事業計画書」を作成します。
ものづくり補助金の審査項目に沿った内容であること、その他いろいろな検討が必要です。
これにはかなり時間と労力を要します。
- 3 補助金の申請
- 応募申請の締切日までに、電子申請システム(Jグランツ)で申請を行います。
ケアレスミスで審査前に不採択とならないよう、添付ファイル等を充分確認のうえ送信します。
- 4 応募審査と採択の決定 ~約2ヶ月
- 応募申込み締切り後、審査になります。採択結果がでるまで2か月程度かかります。
- 6 交付申請・交付決定 ~約1ヶ月
「採択結果」が届いたら、会社全体の事業計画、補助対象として申請した経費を詳細に確認して「補助金交付申請」をします。
補助金交付額が確定した「交付決定通知」が届けば、補助事業を開始できます。
- 7 補助事業(申請した事業計画に基づく取組み)の実施 ~10ヶ月以内
- まず「補助事業の手引き」を熟読し、自己資金を支出して、設備等を発注し、申請をしたとおりの事業を開始します。
開始から3ヶ月経過した時点で「遂行状況報告書」を提出します。
交付決定日から10ヶ月以内に事業を完了させ、支払いを全部済ませます。
- 8 実績報告
- 補助事業完了後30日以内に、実績報告書を提出します。
補助事業の結果や実際にかかった経費を、証拠書類を添付して報告します。
補助事業の手引き」どおり行っていないと、証拠書類の不足で補助金が交付されない恐れがあります。
- 9 確定検査・補助金の請求・補助金の支払 ~約1ヶ月
- 実績報告が審査され、また、事業所を訪問しての「確定審査」がある場合もあります。
適正に実施されたと認められれば補助金額が確定し、「補助金確定通知書」が発行されます。
- 10 補助金の請求・補助金の支払
- 「補助金確定通知書」にある補助金を請求手続きして、補助金が指定口座に振り込まれます。
- 11 事業化状況の報告 ~毎年4月頃
- 事業計画どおりに実施されたか最後までチェックされます。
5年間にわたり、毎年「事業化状況(収益状況含む)・知的財産権等報告書」および賃金台帳の提出を求められます。
賃金引上げ要件等を達成できないと補助金の一部を返還しなければいけません。
審査に通るためのポイント
本気でものづくり補助金を獲得したい人へのアドバイスです。
国から1,000万円もらおうとすれば、相応の時間と手間がかかります。
オリジナルの計画書を作成する
募集要項にも
”他の中小企業・小規模事業者等から提出された事業と同一若しくは極めて類似した内容の事業”は
”不採択、採択決定の取消、又は交付決定の取消の措置を行います”と明記されているくらい、
申請代行業者による事業計画書の流用や同じテンプレートを使ったものが横行しているようです。
他人の事業計画をその通り実行できるわけがないので、結局、補助金は支給されません。
自分で考えるのは面倒だから業者に丸投げ、はリスクでしかありません。
できるだけ加点項目をとる
加点項目とは、審査での評価にプラスされる、いわば”ボーナスポイント”です。
確実に採択率が上がるので、使えそうなものはできるだけ使います。
加点項目の効果
過去のものづくり補助金申請データによれば、取得した加点項目の数が多いほど、採択率(赤線)は上昇します。
真面目で実績のある中小企業診断士、公認会計士、行政書士なら、どこに頼んでもしっかりした事業計画書が作れます。
その競争のなかで採択までたどり着くには、「加点項目」が必要となります。
1 「経営革新計画」の承認を取得
受付から承認を得るまで3ヶ月~6か月必要なうえ、とても手間のかかる申請ですが、
採択の確率を上げるために、是非ともトライしていただきたい加点項目です。
2 創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)
個人事業者の場合、第二創業の加点はありません。
個人事業主の事業を承継する場合は、”創業”として加点申請できます。
3 「パートナーシップ構築宣言」を行っている
親事業者と下請事業者との望ましい取引慣行の遵守を宣言するもので、
「発注者」の立場から行うものですが、中小・小規模事業者でも宣言はできます。
宣言の登録はそんなに手間がかからないので、取得しておくことをお勧めします。
4 再生事業者
5 「デジタル技術の活用及びDX推進の取組状況」(デジタル枠のみ)
取組状況およびレポート類を自社のホームページで公開しているなどの条件があります。
CSRレポートなどが開示されているような会社であれば、対応できなくはないと思います。
6 「事業継続力強化計画」の認定を取得
自然災害や感染症に備える、防災・減災のための事前対策に関する計画です。
採択されるためには必須と言っていいので、
ものづくり補助金申請の2ヵ月前までには申請すること。
7 賃上げ加点
給与支給総額を年率平均2%以上増加かつ事業所内最低賃金は地域別最低賃金+60円以上
または
給与支給総額を年率平均6%以上増加かつ事業所内最低賃金は地域別最低賃金+45円以上
人件費の負担が大きいので安易にお勧めはできません。
まとめ
以上、ものづくり補助金の概要と申請のポイントについて説明しましたが、
補助対象経費の詳細や、特別枠を使うときに提出が必要となる書類などここでは書ききれないこともあります。
実際にご自分で申請するときは、ものづくり補助金公式サイトにある
「公募要領」・「参考様式」・「Jグランツ入力の手引き」を熟読のうえ行ってください。
・事業計画書がなかなか書けない
・入力ミスしそうで申請手続きが不安
という場合は、当事務所で申請サポートをしていますので、利用をご検討いただければとおもいます。
ものづくり補助金の申請をお考えのときは、遠慮なくご相談ください。
遠慮なくお問い合わせください050-6861-7330お電話受付時間 10:00-19:00 [ 土日除く ]
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