融資成功に直結する7項目(この記事のまとめ)

1.創業時の資金調達で利用できるは、「日本政策公庫の新創業融資制度」か「自治体の制度融資(信用保証協会の保証付き融資)」の二択になります。

2.開業直後はたいてい赤字が続きます。運転資金に余裕を持たせることで、心の余裕ができ、売上げアップの新たな施策を打つこともできます。

3.申込みから融資実行までの流れを頭に入れておくと、次にどうなるのかビクビクせずに済みます。

4.借りたお金がきちんと返せる、と融資担当者に納得してもらえることがいちばん重要です。それを意識して創業計画書を作ります。

5.創業計画書に「損益計算書」、「予想資金繰り表」を添付すると説得力が増します。

6.自己資金は創業融資審査の最重要評価ポイントです。多ければ多いほど融資の確率がアップします。

7.お金についてのきちんと感が伝わるよう、少なくとも6か月前から準備が必要です。

これから起業する方、起業して間もない方を対象とした、「公的融資」

独立開業に向けてコツコツ資金を貯めてきたけれど、まだ不足している。

そんなとき、日本政策金融公庫や信用保証協会で融資を受けることもできます。これらは原則無担保・無保証人・低金利です。

そして、

じつは、開業資金を自分で準備してあったとしても、それだけでは不十分です。

売上が順調になるまでには予想以上に時間がかかるものです。

その間でも、仕入・家賃・人件費・その他諸経費で現金がどんどん出ていきます。さらに売掛金回収までのタイムラグがあります。

ですので、開業直後のことも考えて、資金が底をついたりしないよう余裕を持たせておくことが必須となります。

さらに、この資金的余裕が開業当初の心の余裕にもつながります。(これは本当に大事です、この記事の中で一番大事かも)

融資の対象となるもの

  • 店舗/事務所を借りるための保証金、前払い家賃
  • 内装工事
  • 機械、車両、備品などの設備投資
  • 当面の運転資金(仕入、人件費等の諸経費)
  • その他、開業に必要な経費

日本政策金融公庫からの融資

新創業融資制度

創業時に使える日本政策金融公庫の融資制度は3つあるのですが、

圧倒的によく使われているのが担保・保証人不要で使い勝手のいい「新創業融資制度」です。

 担保、保証人 不要

 融資限度額:3,000万円(1,000万円以内が現実的です)

 利率: 2.41~2.80%

 要件: 自己資金の要件あり、創業資金の10分の1以上

わかりづらい(気にする必要もあまりない)のですが、「新創業融資制度」は、以下の各融資とセットで使う特例制度です。

日本政策金融公庫に問い合わせるときは「新創業融資制度を申し込みたい」と言ってかまいません。

どれに該当するのかは担当者の方が決めてくれます。

【新創業融資制度とセットとなる融資制度】

・新規開業資金

・女性、若者/シニア起業家資金

・再チャレンジ支援融資(再挑戦支援資金)

・新事業活動促進資金    など

新創業融資制度の申込から融資実行

申込
・申込窓口は日本政策金融公庫の最寄りの支店
(管轄地域があるので申込前にホームーページなどで必ず確認してください)
・借入申込書、創業計画書、テナントや機械などの見積書などを提出(郵送も可)
面談
・申込から10日前後で、公庫の担当者より面談の連絡がある
(書類審査で落ちる、ということはありません。)
・指定された日時、提出を指定された資料(預金通帳など)をもっていき、担当者と面談
・事業の概要、売上げの根拠、自己資金の調達方法などについて確認される
融資の決定
・面談から1~2週間で融資が決定
・公庫の担当者から連絡があり、融資契約書等が送られてくる
・契約書に必要事項を記入して返送
融資の実行
・契約書が日本政策金融公庫に届いてから3営業日程度で融資金額が振り込まれる

自治体の制度融資(信用保証協会の保証付き融資)

制度融資は窓口によって「都道府県による制度融資」と「市区町村による制度融資」とがあります。

どちらも、銀行や信用金庫から創業資金を融資してらうとき、各都道府県にある「信用保証協会」による保証を受けると、原則、担保・保証人不要とすることができます。

なお、各自治体により、制度融資の内容は異なります。

制度融資の特徴:

 担保、保証人 不要(ただし、千葉県では法人の場合は代表者の連帯保証が必要)

 融資限度額(保証上限額):1,500万円(千葉県信用保証協会の場合。自治体により異なる)

 利率: 金融機関(銀行/信用金庫)の利率

 要件: 自己資金の要件あり、創業資金の2分の1以上

 保証料: 利息に加えて、保証料(千葉県では融資額の0.8%→県からの補助があるので0.4%)がかかる

<さらに市町村による制度融資の場合>

・都道府県または市区町村による斡旋が必要なので、融資実行まで時間がかかる

・利子補給(千葉市の場合1.4%)などの特典がある場合が多い

制度融資の申込から融資実行

ここでは「都道府県による制度融資」について説明します。

「市区町村による制度融資」の場合は、以下にプラスして創業計画について市区町村の斡旋書をもらう必要があります。(千葉市の場合は、斡旋書ではなく、申込書類が金融機関から千葉市産業振興財団へも送られて、申込み内容確認が行われます)

申込
・申込窓口は融資を希望する銀行
・融資申込書、企業概要書、創業計画書などを提出
・銀行から信用保証協会へこの申込書類が送られる
面談と審査
・面談日時と、事前に用意する資料について信用保証協会から連絡が来る
・創業計画書、企業概要書、用意した資料などをもとに面談
・面談場所は信用保証協会、開業場所を見ることもあり
・さらに銀行による書類審査もあり
融資の決定
・信用保証協会の保証承諾を得られれば、融資が決定
融資の実行
・信用保証協会との保証契約、銀行との融資契約の契約書を記入し、送る
・手続き終了後、融資申込銀行の口座へ融資金が振り込まれる

融資成功のための創業計画書

創業時は経営実績を数字で判断することができませんので、創業者の「人間性」がより重視されると思って間違いありません。

創業計画書は、自分の言葉でしっかりと伝えるをこと意識して作成します。

(流行のカタカナ用語、意味の良く分かっていないナントカ分析表を使うことは避けてください。面談のとき混乱します。)

また、創業計画書に収支計画その他の資料をつけることで、より説得力が増します。

最低でも、『3か年損益計画書』は添付したほうが良いと思います。 取引先の大半が企業という場合は『予測資金繰り表』が必須となります。

創業計画書の書き方

創業計画書は所定のフォーマットと業種別の記入例が用意されていますので、それを使用してもいいですし、独自のものを作成して提出することもできます。

ただし、記入例は「ここにはこういうことを書く」くらいのあっさりした内容ですので、”この程度で大丈夫”と思ってはいけません。

できれば、独自の創業計画書を作成することをおすすめします。

といっても難しいものはいりません。所定のフォーマットの項目はそのままで、書くスペースを広げた感じのものをイメージしてください。

創業計画書基本構成

1 創業の概要    

 ・創業動機、目的 

   なぜこの事業をやりたいか、

   創業への決意、続ける覚悟と熱意を示す

   家族の理解などがあればなおよい

 ・創業者の経歴

   創業する事業の経験値を詳しく書く

   経験値は最強のアピール要素となる(開業しようとする業種で6年以上の経験があるとかなり有利)

    どこで、どのようなポジションで、

    何を学んだか、

    どのようなスキルを身に着けたか

   もし、創業する事業について経験のない場合

    どんな経験をしてきたか、

    それが創業にどのように役立つか

 ・事業内容

   提供する商品やサービス、その技術の特徴など

 ・強み

   事業および自分自身の「ウリ」、競合他社との比較もつけるとよい

  (あれば)見込み客、販売ルートの存在

2 資金使途の内訳

 ・設備資金と運転資金

  明細表としてまとめておきます。

 「広告宣伝費」、「その他諸経費」などで一括して記載する場合は、その内訳を説明できるようにしておきます。

3 資金調達の内訳

 創業資金の内訳です。

 以下の資金の合計が「資金使途の合計」と一致しなければなりません。

 ・自己資金

 ・(あれば)他の金融機関からの借入額

 ・借入申込額

収支計画(損益計画)

 融資を受けるためには、利益が出て返済財源が確保できることを示すのが重要です。

毎月どれくらいの売り上げがあって、経費がどれくらいかかって、結果これくらいの利益がでます、

ということを示すため、

 3か年損益計画(36か月分月次計画)

を添付します。

創業計画書フォーマットの「8 事業の見通し」を36か月に拡張したものと考えてください。

必要となる経費がすべてあげられており、売上げの根拠が明確になっているかがカナメです。

以下を補足として加えると説得力が増します。

・売上が伸びる理由

・経費を固定費・変動費に分け、変動費(仕入・外注費など)の増加を詳細に検討する

・計画通りのいかなかったときの施策

予測資金繰り表

キャッシュフロー(手元にある、すぐに使える現金預金など)の計算に使います。

前記の3か年損益計画書は毎月の利益を算出するものでしたが、

それにに営業外収支(借入やその返済など)をプラスマイナスし、毎月の残高を繰り越していくことで、

手持ちのキャッシュがどう増減するかを予想するものです。

(キャッシュが0となったときは、倒産を意味します)

これをつけることで、計画をしっかり検討したこと、返済可能というその根拠を示すことができます。

その他の注意事項

あくまでも当事務所の見解ですが、

(公的融資では)分析表やグラフを多用したカッコいい計画書を作る必要はないと考えています。

その他に資料をつけるとすれば、

・日本の人口構成や経済動向などではなく、開業予定地の前の交通量とターゲット層の割合

・トレンドを検索するより、近隣の同業他社の動向

など周辺地域に根差した調査の方が意味があると思います。

創業計画書の評価ポイントは「返済財源」

融資されたお金をきちんと返済できますよ、という根拠のことです。

融資の返済財源は、事業から得られる利益です。

つまり、返済できるだけの利益を上げられる根拠を、はっきり示さないと、融資はされません。

創業計画書はそのために提出するものです。勘違いされる方が多いですが、プレゼン資料ではありません。

”こんなに素晴らしいんだ”と主張するのではなく、”だから利益がでるんだ”と納得させるのが目的です。

それでも面談の際には、「もし計画どおりいかなかったらどうします?」と聞かれますので、

(親族からの援助など)資金繰りについてもはっきり説明できるようにしておきます。

自己資金はどれくらい必要?

自己資金とは、開業のために自分で用意したお金のことです。

無担保、無保証人の融資の場合には、自己資金があることが非常に重要になります。

日本政策金融公庫ですと、自己資金の要件は10分の1以上となっています(要件なし=0でもいい、という特例もあります)。

しかし、これは「申込書はいちおう受け付けますよ」というレベルでしかありません。

本当に創業融資を受けたいのなら、開業資金の3分の1以上の額の自己資金は準備しておいた方がよいと思います。

自己資金が多ければ多いほど、より融資が受けやすくなります。

融資審査では、自己資金が十分に用意されていることで、「創業の本気度」「しっかり準備していること」が評価されています。

開業にいくらかかるかを見積もっていて、そのために毎月の給料の中からコツコツ貯めてきた、というの理想です

まだなんの実績もない人に事業資金を貸すのですから、この計画性とコツコツ感が重要な評価対象となるわけです。

自己資金は面談のとき預金通帳で確認されますので、以下の点に注意します。

・預金通帳で証明できるようにする

・現金は自己資金として評価されないことが多い(お金の流れがわからないから)

 「タンス貯金」などを自己資金として認めてもらうには、納得させられるだけの合理的な理由や数字が必要です。

・親族等からの資金援助などは、現金の受け渡しではなく口座振り込み等で、出所・お金の流れが説明できるようにします、

・専業主婦の方の場合、自己資金は夫の通帳で認められることもあります。

スムーズな融資のためにやっておくべきこと

お金についてだらしないと思われると、決定的なダメージになります。

面談では、預金通帳(過去6か月が記帳されていること、人によっては12か月前まで)の提示が求められす。

どんなことをチェックしているかというと、お金についての「きちんと感」です。

・公共料金は支払期日を守っているか

・家賃は滞納していないか

・自己資金をコツコツと貯めているか

また、以下も重要なチェックポイントです。

・税金は完納しているか

・クレジットカード、分割払いの引き落としはきちんとされているか

・カードローン、キャッシングなどの借入は全額返済しておく(高金利の借入をしていると融資に不利です)

カードやローン等の事故はCICという機関に情報が残りますので、心配でしたらご自分で確認しておくことをおすすめします。

うっかり、という言い訳はききませんから、

最低でも面談前6か月間はこれらをきちんとしておきましょう。

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